宅建士[宅地建物取引士]とは

宅建士とは

「宅建士(宅地建物取引士)」とは、主に不動産業界で活躍する国家資格です。 不動産取引の専門家として、契約の安全性を守る重要な役割を担います。

受験にあたって受験資格は不要で、どなたでも受験可能です。 毎年約20万人が受験する人気資格ですが、 合格率は15~18%と決して簡単ではありません。

ただし、必要以上に難しく考える必要はありません。 試験は 「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限」「税・その他」4分野から出題され、満点は50点です。

合格ラインはおおむね 36点前後。 つまり約7割正解できれば合格圏内に入る試験です。

さらに、宅建業者にお勤めの方は、講習修了により 問46~50が免除される「5問免除制度」 を利用できます。 この制度を活用すれば、実質45問での勝負となり、 合格のハードルをさらに下げることが可能です。

宅建士の需要

宅建士の資格は、宅地建物取引業に従事する方だけのものではありません。 現在は金融・建設・保険・管理会社など、幅広い業界で活用されています。

たとえば金融業界では、土地や建物を担保にした融資業務を行う際、 宅建士試験で学ぶ民法・契約知識がそのまま実務に役立ちます。 そのため、実務力アップを目的に取得する方も年々増えています。

また、時間を確保しやすい学生の方は、 在学中に宅建試験に合格することで、 就職活動で大きな武器になります。

宅建士は、資格取得=キャリアアップにつながる、 将来性の高い国家資格といえるでしょう。

試験概要

  • 受験資格
    年齢・性別・学歴等の制限は一切なし。合格後、資格登録にあたっては、 一定の条件(宅建業法第18条)あり。
  • 一部試験の免除について
    登録講習機関が行う講習を修了し、修了試験に合格した者は、 3年以内に行われる試験において5問免除される。
  • 受験地
    各都道府県別で実施。原則受験申込時に本人が住所を有する都道府県での受験
  • 願書受付日
    例年7月上旬から申込開始。年によって願書受付日は異なる。
  • 試験日
    例年10月の第3金曜日
  • 合格発表
    例年11月下旬

試験内容

※試験概要、日程については例年の試験形態を参考にしています。 詳細は必ず不動産適正取引推進機構のホームページ等で再度確認するようにお願いいたします。

宅建士にしかできない独占業務

宅建士には、資格保有者でなければ行えない「独占業務」があります。 これは不動産取引の安全性を守るために法律で定められている重要な役割です。

① 重要事項の説明

不動産取引は高額になるケースが多く、さらに法的リスクも伴います。 また、お客様が必ずしも不動産の専門知識を持っているとは限りません。

そのため宅建士は、契約前に物件や取引条件の重要事項について、 お客様が理解できる形で説明する役割を担います。 これによりトラブルを未然に防ぐことができます。

② 重要事項(35条書面)への記名

重要事項の説明は、口頭だけではなく、 重要事項が記載された書面の交付が義務付けられています。

この書面を「重要事項説明書(35条書面)」といい、 必ず宅建士の記名が必要です。 誰が説明を行ったのかを明確にし、 説明責任をはっきりさせることで、 適正で円滑な不動産取引を実現します。

③ 37条書面への記名

契約成立後には、一定の事項を記載した 「売買契約書」などの契約書の交付が義務付けられています。

これを「37条書面」といい、 ここにも宅建士の記名が必要となります。

不動産取引の専門家である宅建士が記名することで、 契約が双方の合意のもと適正に行われたことを証明し、 安全で信頼性の高い取引につながります。

宅建の試験科目

宅建業法

まずは宅建業法から学習をはじめましょう。 なぜなら宅建業法は試験における配点がもっとも高く満点を目指したい重要分野だからです。

早めに知識をインプットし、 繰り返しアウトプットすることで出題傾向に慣れ、 試験で安定した得点力を身につけましょう。

過去問に挑戦【宅建業法】

次の記述は宅地建物取引業の免許を要する業務が含まれるか?

B社は、所有するビルの一部にコンビニエンスストアや食堂など複数のテナントの出店を募集し、 その募集広告を自社のホームページに掲載したほか、多数の事業者に案内を行った結果、 出店事業者が決まった。(H30-41)

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権利関係

権利関係は宅建業法の次に出題数が多く、 他分野と比べて学習範囲が広い分野です。 問題の難易度も高いため、ここでは「理解すること」に しっかり時間をかけましょう。

過去問に挑戦「権利関係」

古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、 その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。(H28-2)

※クリックして解答を表示

法令上の制限

法令上の制限についても、宅建業法と同様に 満点を目指して学習を進めていきましょう。

都市計画など行政ルールが出題範囲となるため イメージしづらい点も多いですが、 図解などを活用して理解を深めることが大切です。 アウトプットでは反復演習で知識を定着させましょう。

過去問に挑戦【法令上の制限】

都市計画法に関して、次の記述は正しいか。

なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。 開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止するときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。(H28-17)

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税・その他

税・その他は毎年出題傾向が安定している分野です。 インプットがある程度終わったら、すぐに問題演習に進みましょう。

間違えやすいポイントを意識して対策すれば、 税・その他でも十分に高得点を狙うことが可能です。

過去問に挑戦【税・その他】

所得税法に関する次の記述は正しいか。

個人が台風により主として保養の用に供する目的で所有する別荘について受けた損失の金額 (保険金等により補てんされる部分の金額を除く。)は、その損失を受けた日の属する年分 又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除される。(H29-23)

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学習を始めるべきタイミングは?

宅建試験に合格するために必要な勉強時間は、 300~500時間 と言われています。

そのため、特に初学者の方は3〜4月から学習をスタートし、10月の本試験に向けて約半年かけて合格を目指すのが理想的なタイミングです。 無理なく基礎から積み上げることで、安定した得点力が身につきます。

一方、再受験の方などは5月から学習を始めても、毎日2時間の学習を続ければ約300時間を確保できます。 正しい進め方で取り組めば、十分に合格を狙うことが可能です。

いずれにしても、学習開始は早ければ早いほど有利です。 早めに取り組むことで心にも余裕が生まれ、自信をもって本試験に臨むことができます。

※上記スケジュールは、MHJが開講している宅建士通信講座の学習スケジュール例です。

まとめ

宅建士は、不動産業界だけでなく、金融・建築・相続・投資など 幅広い分野で活かせる国家資格です。

試験範囲は広く感じるかもしれませんが、 正しい順序で学び、ポイントを押さえていけば、 決して特別な才能が必要な試験ではありません。

大切なのは、「いつかやる」ではなく、 「今、動き出すこと」です。 早く始めるほど、余裕をもって実力を積み上げることができます。

ぜひこの機会に学習をスタートし、 自信をもって本試験に挑める自分を一緒につくっていきましょう。