第6回 〈漢方特集〉知って得する「肝臓とカンゾウ(甘草)」

試験にも日常生活にも、役立つ「からだ」と「くすり」の解説をお届け致します。

体の中には、大変働き者でありながら悲鳴を上げない=おとなしい=沈黙の臓器がしっかり連携しています。 これは消化という大事な仕事を皆で連携=一致協力しており、効率のよい並び(分担)になっているのです。

さて、「かんぞう」という言葉ですぐ思い浮かぶのが横隔膜近くにある「肝臓」ですが、「甘草(カンゾウ)」という、漢方で用いられる植物も大変重要なキーワードです。

肝臓は、消化器中最大の臓器で、実にたくさんの仕事を担っています。なので、生体の「化学工場」と呼ばれています。大まかに次のような化学変換を行っています。

  1. 異化(外部栄養の分解)
  2. 同化(内部必要成分の合成)
  3. 異物の解毒(酸化還元)
  4. 貯蔵(グリコーゲン:脂溶性ビタミン類)

肝臓の機能が多岐にわたっているため、どれか一つでも痛んでしまうと、病気になってしまいます。肝臓の代表的病気は、消化器疾患(肝炎+肝不全+黄疸+等々)のところを復習しておきましょう。

肝臓の病気の中では、「黄疸」と「ウイルス性肝炎」が試験によく出題されます。
黄疸の原因物質は、コレステロールから動員(合成)された「胆汁酸」であって、「胆のう」に蓄えられています。 従って、肝臓⇒胆管⇒胆のう⇒十二指腸⇒大腸 が消化吸収の流れ作業です。

未病への第一歩。臓器の役割を学びましょう。

肝臓の病気は、その程度によって分類されています。黄疸(ウイルス性肝炎、肝不全)、肝硬変、肝癌となっていきます。 肝臓の病気は、意外にもからだのどこか(皮膚や爪、目)に見える形で進行します。

漢方薬の中には、肝臓をいたわるものもありますが、 漢方自体も生体の異物に変わりありませんので、必要以上の摂取は、 肝不全や肝炎を引き起こします。 多くの漢方処方で使用されるカンゾウ(甘草)も、飲み過ぎた場合には、 肝不全や間質性肺炎(肺の細胞の破壊)を引き起こすことがあります。

カンゾウの成分として重要なものは、グリチルリチン酸です。 これが、幅広い抗炎症作用を示します。その化学構造が、ステロイドに似ていますので、 使い方やしてはいけないこと、使用上の注意が沢山ありますので、 重要なチェックポイントです。

特に、当社オリジナルテキストにおける、第3章の「風邪薬」を復習して、 他の抗炎症成分についても比較しておきましょう!