第7回 臓器の活躍に注目。「膵臓」の重要性!

前回の主役は 肝臓とカンゾウでした。今回は、肝臓から下の消化器群【肝臓、胆のう、膵臓、小腸、大腸】のうち、最もおとなしい働き者の膵臓を取り上げます。この内、膵臓+大腸の癌は近年増加傾向にあります。最近のニュースでも、大横綱も膵臓癌の病魔には勝てませんでした。他の器系の癌もよく取り上げられますので、消化器ロードショーは、必ず教科書でチェックお願いいたします!

膵臓は、消化酵素とホルモンの分泌という重要な働きをします。臓器が小さいわりに、消化も内分泌もがんがんやるので、壊れるとボロボロになります。改めて、膵臓の病気チェックポイントをまとめておきます。

肝臓、胆のう、膵臓の癌や病気は早期には症状が乏しいため、危険因子のある人=飲酒+喫煙+胆石を持っている人は定期的に検査が望ましいといえます。

縁の下の力持ち?実は重要な臓器に着目します。

突然に起こる膵臓の病気は油断大敵です!

急性膵炎は、たんぱく質分解酵素トリプシンが、膵臓組織を自己消化する病気です。アルコール摂取や胆石症が大きな二つの原因とされます。症状としては、急激にみぞおちから背中にかけて痛みが走り、吐き気や嘔吐、発熱が見られることもあります。この痛みは脂肪分の多い食事やアルコールを摂取すると、さらに悪化することがあり、前かがみにうずくまると、痛みが和らぐという特徴もあります。

一方、慢性膵炎では、上記のような膵臓での炎症が繰り返されることにより、正常な細胞から線維組織や石灰化などへの変性を起こし、正常機能が働かなくなっていく病気です。

半数以上がアルコールとの関連性(アルコール性慢性肝炎)が指摘されています。即ち数年以上過度の飲酒歴がある男性で、繰り返し急性すい炎のような症状=みぞおちから背中にかけての痛みを起こしている人が典型的な慢性膵炎で、膵癌に発展していきます。白い脂肪便なども見られることがあり、消化吸収障害からの体重減少が起こります。膵臓で作られるインスリンの分泌も不十分になり、やがて糖尿病となります。

膵臓の病気の末期である膵がんは、50~80歳に多く発症し、近年増加傾向にあります。男性に多く発生しますが、初期の症状としては「なんとなく胃の具合が悪い」などといった特に特徴のないお腹の症状が比較的多く見られます。自覚症状としては腹痛と黄疸があります。それ以外では腰痛、背中の痛み、体重減少、食欲不振などもみられます。

ただ症状に典型的なものはなく、早期に診断できる決め手がないため、早期発見がとても難しい癌といえます。