第16回 てんぷらのお供の大根おろしは消化剤?

日本食の中でも人気の高いてんぷら(天麩羅)ですが、大人にとっては食べた後の胃もたれなども気になるメニューです。 てんぷらのお供として思い浮かべるのは大根おろしかもしれませんが、一緒に摂取することで胃腸をスッキリするようなイメージがあります。

大根やかぶといった食品には、ジアスターゼと呼ばれる酵素が含まれていますが、このジアスターゼには、炭水化物を分解する働きがあります。 てんぷらの衣に使われている小麦粉などは炭水化物であるでんぷんを含みます。 でんぷんを消化しきれないと、胃もたれや胸やけなどを引き起こす要因ともなるため、大根おろしをてんぷらと一緒に摂取することは消化剤を一緒に飲むことに近いと言えるかもしれません。

市販の胃腸薬の成分には、ジアスターゼをはじめ、脂質の消化を助けるリパーゼなどの消化酵素が含まれている場合があり、胃粘液を増強する成分などとの配合製剤も販売されています。 年末年始を含め何かと胃腸に負担がかかってくるこの季節、食品に含まれる成分や胃腸薬を上手く活用して乗り切るのも一つの方法かもしれません。

食材に含まれている成分を理解すれば、健康を気遣う上で一役買うこと間違いないですね。

腕試し問題

下記の文章を読んで、○×で答えてください!問題文をクリック(タップ)すると回答が開きます。

酸化マグネシウムは胃酸を中和させる制酸成分としても使われるが、主な副作用に便秘がある。
答えは「×」酸化マグネシウムは塩類下剤としても使われるため、主に下痢があらわれることが考えられます。
緑内障の持病を持つ人がお腹の下りでロートエキスを服用しても問題ない。
答えは「×」ロートエキスによって眼圧の上昇などがあらわれる場合があります。頻度は稀とされ、緑内障の病態などによっても危険性は異なるが注意は必要です。
グリチルリチン酸を含む胃腸薬と漢方薬は一緒に服用しても問題ない。
答えは「×」漢方薬の多く(約7割)は生薬の甘草(カンゾウ)を含み、甘草の成分がグリチルリチン酸であるため、併用に注意が必要です。
胃酸は強い酸で食物などの消化に関わるだけでなく、細菌などを殺菌する役割も果たしている。
答えは「○」胃酸に抵抗性をもつ細菌の例としてピロリ菌などが挙げられます。
医療機関から抗菌薬(抗生物質)を処方されている場合、胃腸を考えて念のためスクラルファートを含む胃薬を購入して服用するのは問題ない。
答えは「×」スクラルファートに含まれるアルミニウムによって全てではありませんが、ある種の抗菌薬の吸収が阻害される可能性があります。(テトラサイクリン系抗菌薬やニューキノロン系抗菌薬などで注意が必要となります。)