第15回 ノロウイルスは漂白剤でやっつける?

冬場になると各地で猛威を振るうノロウイルス。 インフルエンザウイルスなどと流行する時期も重なる場合もあり、医療関係者や高齢者施設のスタッフなどにとっても脅威の存在です。

ノロウイルスのやっかいな点の一つは、一般的によく使われているアルコール含有の消毒剤(消毒用エタノールなど)による消毒効果があまり期待できないところにあります。 ノロウイルスには85℃以上の熱湯による1分以上の加熱処置などが感染防止の方法になり、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒も方法の一つです。

次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒剤は、病院や施設用の商品もありますが、一般的には家庭用の漂白剤でも代用できます。家庭用の漂白剤で、次亜塩素酸ナトリウムを5~6%程含むものがありますが、(他の濃度の商品もあります) これを希釈してノロウイルスの消毒剤を作ることが可能です。

寒暖差の激しいこの季節。ウイルス対策のための確かな知識を身に着けましょう!

次亜塩素酸ナトリウムの消毒液では、一般的に濃度をあらわす言葉でppm(パーツ・パー・ミリオン)という単位を使います。

詳細に関しては割愛しますが、「%」であらわすと「1ppm=0.0001%」です。ノロウイルス消毒では、200ppm(0.02%)と1000ppm(0.1%)の二つの濃度が消毒の指標となり、200ppm消毒液は、主に調理器具、床、トイレのドアノブや便座などの消毒に用い、1000ppm消毒液は主にノロウイルス感染者の嘔吐物や便などへの消毒に用います。

消毒=アルコールではなく、ウイルスによって消毒法が異なる場合があることを理解し、状況に合わせた感染症対策をすることが大切です。

腕試し問題

下記の文章を読んで、○×で答えてください!問題文をクリック(タップ)すると回答が開きます。

感染症はすべて細菌や真菌の感染によって引き起こされる。
答えは「×」細菌や真菌の他、ウイルスなどによっても引き起こされます。
ノロウイルス感染症に対して消毒用エタノールの消毒液による対策をとった。
答えは「×」ノロウイルスにはエタノールの効果があまり期待できないため、一般的に次亜塩素酸ナトリウムによる消毒液などが対策としてとられます。
消毒液を誤って吸引してしまったので、新鮮な空気がある場所へと移動した。
答えは「○」意識がない場合は、新鮮な空気がある場所へ運び人工呼吸をするなど適切に対処します。
ベンザルコニウム塩化物は陰イオン性の界面活性剤に分類される。
答えは「×」陽イオン性の界面活性剤に分類されます。
物質中のすべての微生物を殺滅または除去することを消毒という。
答えは「×」問題文は滅菌に関しての記述です。消毒は病原微生物(または目的の微生物)を殺滅し、その微生物が感染源になることを防ぐ操作をいいます。