第20回 目薬をさした後に苦みを感じたら要注意かも!?
目薬を処方された時、医師や薬剤師などから、「目薬をさした後に、しばらく目を閉じて目頭(正確には眼と鼻の間の部分)を軽く指で押さえるとより効果的ですよ」というような説明を受けた経験があるかもしれません。
目頭(鼻に近い端)付近には、目と鼻をつなぐ鼻涙管という細い管があります。 点眼された薬液の一部は、この鼻涙管を通って鼻(鼻腔)に移行します。鼻腔は、口(口腔)とつながっているため、目薬をさした後に少し苦みを感じたりすることがあるのはこれが主な原因と考えられます。
目から鼻へ移行した薬液が、鼻腔粘膜から毛細血管へ移行する量や口腔内へ移行する薬液の量はわずかかもしれませんが、薬液の成分などによっては、局所だけに留まらず、全身作用があらわれる可能性もゼロではありません。
実際に、緑内障の治療薬であるβ(ベータ)遮断薬という薬の多くは、喘息(気管支喘息)を持病に持つ人には、特に注意が必要な薬になっています。
この薬は、主に眼圧を下げる作用をあらわしますが、交感神経に関わるβ受容体が遮断(阻害)されることで、気道が狭まり呼吸がしづらくなることも考えられるからです。もちろん点眼薬ですので、飲み薬などに比べれば全身作用があらわれる可能性は、かなり低いとされていますが、注意は必要とされています。
「点眼後に目頭を押さえる」行為は、点眼された薬液がしっかりと局所に留まることに加え、全身作用のリスクはさらに抑え、より安全に使う工夫でもあるのです。
花粉症が本格的に始まるこの季節、目薬によっておこる炎症も侮れませんよ!
腕試し問題
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