第8回 グレープフルーツだけじゃない?医薬品の作用に影響を与える柑橘類とは

以前も医薬品の「相互作用」を取り上げましたが、今回はおさらいです!私達が普段何気なく摂取している食品も医薬品の効果(効き目)を左右する要因となる場合があります。薬の作用に対して、他の薬や食品などが影響を及ぼし作用が増強したり、減弱したりすることを一般的に相互作用と呼んでいます。

高血圧治療をされている方はご存知かもしれませんが、ある種類の高血圧治療薬(降圧剤)を服用中にグレープフルーツなどの柑橘類を摂取すると、降圧剤の作用が過度にあらわれ血圧が必要以上に下がり過ぎる可能性があります。

もちろん全ての降圧剤に当てはまるわけはなく、主にカルシウム拮抗薬という種類に分類される薬において、その中のいくつかの薬に比較的相互作用があらわれやすいものがあります。

また、全ての柑橘類が影響を与えるわけではなく、普通のミカン(うんしゅうミカン)などは問題ないと考えられています。

柑橘類の中では、グレープフルーツが最もカルシウム拮抗薬に影響を与える可能性が高いとされていますが、ブンタンやダイダイ、グレープフルーツと他の柑橘類を掛け合わせてできたスウィーティーなども少なからず影響を与える可能性があると考えられています。グレープフルーツは、カルシウム拮抗薬以外にもシクロスポリン(免疫抑制薬)やカルバマゼピン(てんかん治療や疼痛緩和などに使われる薬)などの薬の作用に対しても影響を与えることが確認されています。

医薬品の相互作用を復習しましょう。柑橘類を食べるときは注意しなければなりませんね!

腕試し問題

下記の文章を読んで、○×で答えてください!問題文をクリック(タップ)すると回答が開きます。

高血圧治療薬(降圧剤)のカルシウム拮抗薬を飲んでいる場合、柑橘類を摂取すると、相互作用により必要以上に血圧が下がりやすくなる可能性がある。
答えは「○」柑橘類の中でもグレープフルーツは薬への相互作用が大きい食品とされています。全ての柑橘類が問題となるわけではなく、また薬によっても影響を受ける度合いが異なります。
グレープフルーツはある種の降圧剤の作用に影響を与える為、高血圧治療を受ける際に注意喚起を行えば問題ない。
答えは「×」カルシウム拮抗薬は、高血圧治療以外にも心不全など、他疾患の治療薬となる場合があります。
薬の相互作用には薬と薬だけでなく薬と食品といった相互作用もあるが、食品は薬に比べて相互作用に対する影響が少ないため問題にならない。
答えは「×」薬と食品でも相互作用の影響が大きいこともあります。例えば、抗凝固薬のワルファリンカリウムと納豆など、ビタミンKを多く含む食品などが挙げられます。
病院やクリニックなどの医療機関で薬が処方されている場合、一般用医薬品と併用しても問題がないかを考えるにあたり、相互作用だけを考えればよい。
答えは「×」相互作用の他、処方薬との成分の重複、医療機関で受けている治療への影響なども考慮する必要があります。
薬の相互作用は2種類以上の薬を併用あるいは特定の食品と一緒に摂取した場合に薬の作用が増強することである。
答えは「×」薬の相互作用によって薬の作用が増強する場合もあれば、減弱することもあります。