第10回 喘息治療を受けている人はご用心!? カフェインと喘息治療薬について

テオフィリンは長年、喘息などの呼吸器疾患の治療薬として使われてきた薬で医療用医薬品としてだけでなく、一般用医薬品の成分としても使われています。テオフィリンは、主に気管支を広げることで呼吸を楽にし、医療用医薬品としては喘息発作の予防やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などに使われます。

このテオフィリンは、コーヒーなどに含まれるカフェインと類似した化学構造を持つキサンチン類という種類に分類される成分です。そのため、テオフィリンを服用中にカフェインを過度に摂取すると相互に作用が増強する可能性があり、動悸や不眠などの体に不利益な症状が現れることも考えられます。

キサンチン類に含まれる成分は他にもあり、ジプロフィリンは、一般用医薬品の成分としても色々な製剤に使われています。ジプロフィリンは、平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させることから鎮暈薬(ちんうんやく)にも含まれていることがあります。鎮暈薬は、乗物酔いの薬としても使われていて「呼吸の薬」というイメージからはかなり離れるため、知らず知らずの重複につながる可能性もあります。なんらかの治療でテオフィリンを服用している場合は、カフェインの過度な摂取だけでなく、乗物酔いの薬との併用などにも注意を払う必要があります。

2016年も残りわずか。年の瀬に向け、体調管理を整える漢方薬を知っておきましょう!

腕試し問題

下記の文章を読んで、○×で答えてください!問題文をクリック(タップ)すると回答が開きます。

テオフィリンは、カフェインと類似した化学構造をもつ成分だが、テオフィリンは医薬品、カフェインはコーヒーなどの食品に含まれる成分のため、飲み合わせは問題ない。
答えは「×」テオフィリンとカフェインは、相互作用に注意が必要となります。また、カフェインは、医薬品の成分(無水カフェインなど)としても使われるため、食品以外にも含まれる場合があります。
薬の相互作用のうち、作用の減弱よりも作用の増強の方が危険である。
答えは「×」作用の減弱も増強も危険であることは変わりません。作用の減弱により、薬物治療の効果が十分に得られなく、場合によっては生命の危険にまで及ぶ可能性も考えられます。
市販の総合感冒薬と睡眠補助薬は用途が異なるため相互作用などに注意しなくてもかまわない。
答えは「×」用途が異なるとしても相互作用に注意が必要です。また、総合感冒薬や睡眠補助薬の成分として抗ヒスタミン薬が重複することもあり、注意する必要があります。
ファモチジンはシメチジンに比べて薬物代謝酵素(CYP)に対する影響が少ないとされているが、胃酸分泌抑制作用による他の薬への影響は注意する必要がある。
答えは「○」問題文とおりに覚えましょう。
同じような名称をもつ医薬品でも、少しの名称の違いで含まれている成分が異なる場合があり、相互作用を考える上で注意する必要がある。
答えは「○」例えば「トラベルミン®」はジフェンヒドラミンとジプロフィリンが主な成分ですが、「トラベルミン®ファミリー」ではメクリジンとスコポラミンが主な成分となっています。