第12回 吐き気、二日酔いにも漢方薬が効く!?

年末年始、会社の会合などでお酒を飲む機会も増え、ついつい飲み過ぎた次の日にまっているのは吐き気や頭痛・・・と誰もが「二日酔い」は避けたいところです。

二日酔いの主な原因は、アルコールが体内で分解されていく途中で作られるアセトアルデヒドという物質ですが、漢方医学的に「気・血・水(き・けつ・すい)」で二日酔いを考えてみるなら体内の「水」が滞っている状態となります。
二日酔いを改善するためには、「水」の滞りを改善することが近道であり、この「水」の滞りを改善する作用(利水作用)をあらわす猪苓(チョレイ)や茯苓(ブクリョウ)などの生薬を含む五苓散(ゴレイサン)などが適すると考えられます。

五苓散は、猪苓、茯苓の他にも沢瀉(タクシャ)、蒼朮(ソウジュツ)といった利水作用をあらわす生薬、健胃作用などをあらわす桂皮(ケイヒ)を含み、吐き気や頭痛などを伴いがちな二日酔いにはピッタリなイメージです。
五苓散は、市販薬(OTC医薬品)でも販売されていて、漢方方剤名そのままの製剤だけでなく、アルピタン®(製造販売元:小林製薬株式会社)といったアルコールによる二日酔い改善をイメージしやすい(?)名称で発売されていることもあります。
五苓散は単に二日酔いだけでなく、浮腫、下痢、めまい、尿毒症など「水」に関わる様々な症状や病気に対して効果が期待できる漢方薬となっています。

飲みすぎたあなたも、漢方を味方につければ怖くありませんね!

腕試し問題

下記の文章を読んで、○×で答えてください!問題文をクリック(タップ)すると回答が開きます。

五苓散(ゴレイサン)は二日酔いなどによる頭痛に効果が期待できるが、下痢や吐き気には効果が期待できない。
答えは「×」下痢や吐き気・嘔吐、浮腫など体内の「水」に関わる症状に対して効果が期待できます。
市販薬(OTC医薬品)の漢方薬の商品名は、漢方薬の方剤名と異なる場合がある。
答えは「○」アルピタン®(五苓散)、ナイシトール®(防風通聖散)、アロパノール®(抑肝散)などのように漢方の方剤名とは異なる名称で販売されている製品があります。
自己判断で複数の漢方薬を服用することは副作用があわわれやすくなるなど危険である。
答えは「○」臨床において治療上必要で医師の指示などにより複数の漢方薬を服用することはあるりますが、自己判断でむやみに複数服用することは危険です。
漢方薬に含まれる生薬は個々の作用はすべて穏やかである。
答えは「×」少量で強い作用をあらわす生薬として附子(ブシ)などがあります。
漢方薬に使われる生薬は薬なので、食品として流通できない。
答えは「×」甘草(カンゾウ)など食品として流通可能なものもあります。